◼️映画と写真

・こどもの頃は映画少年でした。「野毛」の桜木町駅寄り、現在はカラオケ店の場所に「野毛劇場」という戦後のションベンくさい三番館があって、週末は決まって二階席の最前列で東映の時代劇を見ていました。知恵蔵、右太衛門、錦之助、橋蔵の全盛時代です。そして現在でも面白そうな映画があれば見にいくしテレビ放映されている洋画を楽しんでいます。

・リタイア後に写真を楽しむようになり、映画を見ることは写真表現に大いに役立つし学ぶことが多いと実感しました。

・映画とスティル写真はどちらもビジュアルメディアですし、限られた平面のフレーム内で視覚的に物語や感情・思想を伝える点が共通しています。添付写真は、ココ・アヴァン・シャネルですが、同名の上質なフランス映画を見てあらためて効用を実感しました。

■共通点

1)フレーミングと構図

 フレーム内の要素の組み立ては視覚的なバランスを保ち観客・見る人の目を導く。主題と背景の関係や写り込む要素の配置が重要で、視覚的に魅力がある構図を作る。

2)色彩と光

 色彩と光・ライティングは雰囲気や感情を伝えるために使用され、例えば、暖色は温かさや幸福感を、冷色は緊張感や悲しみを表現します。色調や光の使い方によって、特定の感情やメッセージを伝えることができる。

3)フォーカスと被写界深度

 被写界深度を利用して、特定の部分に焦点を当てたり、背景をぼかしたりして視点を誘導します。シャープなフォーカスやボケ味を使って主役・主題を際立たせる。

■留意点

1)動きの違い

 映画:シーンやカメラの動きを通じて物語が進行し、視聴者の注意を引き続ける。

 写真:一瞬を切り取り、静止したイメージの中で物語や感情を伝える必要がある。

2)時間の概念

 映画:時間の経過や連続性を表現できるため、複雑な物語やキャラクターの成長を描写できる。

 写真:一枚の写真で全てを伝えるため、インパクトのある瞬間を選ぶことが重要。

3)技術的制約

 映画:特別な機材や編集技術・AIを駆使して視覚効果を追加したり、シーンを複雑に組み合わせができる。老人インディーが若くなって驚きましたね。

 写真:一枚の画像表現のため、撮影時のカメラ設定がシビアになる。

優秀な人材が集まり制作する映画を楽しみながらその技法や美学を参考にすることで、イメージを増幅させて写真表現に深みと魅力を加えることができそうです。