◼️ 展評:中藤毅彦 写真展「DOWN ON THE STREET TOKYO 1995-2025」

・時間がとれず会期が少なくなって気を揉んでいましたが3月13日午後、200点を超える素晴らしい展示会を拝見できました。

・まず印象を整理しながら会場をぐるぐると5~6回見て回ってからステートメントを読みました。「~時間軸を解体して新たに空間として構成し、東京と言う巨大な迷宮をカオスのままギャラリーに再現した」とありました。

・しかし巨大なビル、猥雑な盛り場、場末の路地、街を行き交う人々などなど、光景や被写体それ自体をひとつひとつを見ていくと、わたしが暮らしている横浜の中心部や繁華街とあまり変わらないんじゃあないかとも思え、これがはたして迷宮とかカオスなんだろうか、というのが実感で第一印象でした。

・しかし、さらに見て回ると光景や被写体を帰納的に抽出して構成し、モノクロ、ハイコントラスト、荒れた粒子とエッジを利かせた表現でリアルな東京の現実を加工・脚色して展示会場に迷宮・カオスを構築しているんじゃあないか、と感じるようになりました。そしてそのカオス感を大きく増幅させているのがフライヤーにもあるモデルを使った作品群でそれがきわめて効果的だとも感じました。

・そう、これはいわゆるストレートなストリートスナップではない、もう一つの表現なのかもしれない、というように印象が大きく変わりました。

・幸い会場に中藤先生がいらしたので、わたしの勝手でいい加減な感想の一端をお話できてラッキーでした。次回以降、これからも素晴らしい作品を見せていただきたいと思います。ご活躍が楽しみです。