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⬛️映画と写真       2024年11月15日

・こどもの頃は映画少年でした。「野毛」の桜木町駅寄り、現在はカラオケ店の場所に「野毛劇場」という戦後のションベンくさい三番館があって、週末は決まって二階席の最前列で東映の時代劇を見ていました。知恵蔵、右太衛門、錦之助、橋蔵の全盛時代です。そして現在でも面白そうな映画があれば見にいくしテレビ放映されている洋画を楽しんでいます。

・リタイア後に写真を楽しむようになり、映画を見ることは写真表現に大いに役立つし学ぶことが多いと実感しました。

・映画とスティル写真はどちらもビジュアルメディアですし、限られた平面のフレーム内で視覚的に物語や感情・思想を伝える点が共通しています。添付写真は、ココ・アヴァン・シャネルですが、同名の上質なフランス映画を見てあらためて効用を実感しました。

■共通点

1)フレーミングと構図

 フレーム内の要素の組み立ては視覚的なバランスを保ち観客・見る人の目を導く。主題と背景の関係や写り込む要素の配置が重要で、視覚的に魅力がある構図を作る。

2)色彩と光

 色彩と光・ライティングは雰囲気や感情を伝えるために使用され、例えば、暖色は温かさや幸福感を、冷色は緊張感や悲しみを表現します。色調や光の使い方によって、特定の感情やメッセージを伝えることができる。

3)フォーカスと被写界深度

 被写界深度を利用して、特定の部分に焦点を当てたり、背景をぼかしたりして視点を誘導します。シャープなフォーカスやボケ味を使って主役・主題を際立たせる。

■留意点

1)動きの違い

 映画:シーンやカメラの動きを通じて物語が進行し、視聴者の注意を引き続ける。

 写真:一瞬を切り取り、静止したイメージの中で物語や感情を伝える必要がある。

2)時間の概念

 映画:時間の経過や連続性を表現できるため、複雑な物語やキャラクターの成長を描写できる。

 写真:一枚の写真で全てを伝えるため、インパクトのある瞬間を選ぶことが重要。

3)技術的制約

 映画:特別な機材や編集技術・AIを駆使して視覚効果を追加したり、シーンを複雑に組み合わせができる。老人インディーが若くなって驚きましたね。

 写真:一枚の画像表現のため、撮影時のカメラ設定がシビアになる。

優秀な人材が集まり制作する映画を楽しみながらその技法や美学を参考にすることで、イメージを増幅させて写真表現に深みと魅力を加えることができそうです。

 

■写真集から学ぶ     2024年9月29

・写真をはじめた頃は何をどう撮ろうか、楽しくて夢中になってシャッターを切っていました。少しづつ思うように撮れるようになると月刊誌のコンテストに応募したり、所属クラブの写真展に出展するようになり、最初は一枚写真の表現でしたが複数枚で組むことに興味を覚え、さらに楽しさが広がったように感じました。

・いつ頃からだろう、個展の開催や写真集を編むことに興味をもった頃から、写真展や写真集をたくさん見るようになりました。写真をひと纏まりの群で構成して表現するため、その表現・編集の呼吸を学びたかったからです。写真集は、高い・大きい・重い、の三重苦。多くは買えないので図書館がありがたい存在です。とくに、鬼海弘雄「ぺるそな」シリーズ、藤原新也「メメント・モリ」ほか、須田一政「紅い花」「日常の断片」ほか、ロバート・フランク「THE AMERICANS」。

・素晴らしい作家から多くのことを学んでいます。撮ること、観て感じること、そして表現することを続けていきたいと思っています。

 

■作品展の愉しみ     2024年8月5日

・猛暑が続いているので涼しく快適なギャラリーによく出かけます。展示室に入ると先ずはゆっくり一回りします。気になった作品の前に立ち、作者はどんな思いでこの写真を撮ったんだろう。何を伝えたくてこの写真をセレクトして展示したんだろう。そんなことに思いを巡らせながら見て回ります。とても気分がいい貴重な時間です。心地よい印象の作品はキャプションやステートメントと合わせてもう一度、丁寧に見て回ります。

・しかし、中には既視感満載、作例写真のような作品もあるし、来てちょっと残念に感じる展示会もまたあり、それはプロの展示会でもアマでも同じです。

・下の写真は今月のある展示会で作品を見ているわたしです。たまたま写友が来ていて撮ってくれました。この日はよい展示会で気分よく作品を見ていたので、その感じが表現されていると思います。感性豊かな写友が撮ってくれたので。

 

■写真展の空間考          2024年5月28日

・写真展を計画するときは展示会場を最初に決めることになります。そして展示コンセプトや作品種類に合わせた展示スタイルにする、という流れが一般的です。今回の個展「いつもの街で」では、横浜市民ギャラリーの地下階しか確保できませんでした。

・もともとこの地下展示場は大型の立体作品を展示するように設計されているので、天井がとても高く一般より空間が広く設計されていて、A3+の写真作品群を展示すると小さく感じ殺風景で見映えがしません。そこでその広い空間をどう生かすかを考える必要がありました。

・空間を区切り、ダウンライトとスポットライト照明でメリハリをつける。スクリーンを設置してスライドショーを上映する。あわせて作品展示にリズムを持たせる、付帯設備の配置にも配慮する、という工夫で広い空間を活かすように考えました。

・おかげさまでプリント77作品とスライド73作品で納得の展示ができて好評でした。これからも空間を意識した展示スタイルで魅力的な展示会を開催していきたいと考えています。参考になれば幸いです。

 

■ 組写真のすすめ   2024年4月17日

・単写真は一つの視点で事象や心象を一枚完結で伝えるので、よい情景や瞬間を捉えて分かりやすく表現するのに適しています。

・一方の組写真は複数枚を組み合わせるので、タイポロジーや、前後の時間の関係性、そして物語性を強調できるようになり、幅広いコンセプトやテーマに取り組んで表現することができるようになります。

・ことばの単位は、単語、文節、段落、と順に大きくなります。写真の表現では単写真を「単語」に、組写真は「文」に例えることが多いですね。枚数が増えるごとに、文節、段落、となって、単写真にはない「どう組み合わせるか」構成力やバランス感覚を生かして、複雑なイメージ、より深い意味を伝える作品制作ができるようになります。

・個展や写真集が組写真の延長上にあると考えれば、組写真はその入り口、登竜門といえるかも知れません。

 

■第四回 個展「いつもの街で」   2024年2月29日

・「いつもの街」それは私が撮り歩いている横浜の繁華街「伊勢佐木町」とその周辺の町です。

・こどもの頃から親しんだ街の日常の中に視点を置いて、継続した視線から横浜のこの繁華街の光景と人々の日常の「今」を彷彿とさせたいと、いつもカメラを持ち歩きシャッターボタンを押し続けています。

・それは邯鄲の夢を目の当たりにしながら、その瞬間を写真として定着・記録をする作業とも言えるのかも知れません。

・街は人の営みです。その変化はますます速くなり「新陳代謝」は今も進んでいます。これまでにも多くの写真家が都市・街を撮り続けてきました。街を撮る。それはこれからも続けていく、わたしにとっても大きなテーマの一つです。

・80点の作品を展示します。お時間がありましたら散歩がてら、是非、遊びに来ていただきたく、ここにお知らせをします。

詳細情報→https://ycag.yafjp.org/exhibition/86942/


■個展の開催が決まりました    12月13日

・展示会場を確保し個展開催が確定しました。第四回目になる今回のテーマと展示コンセプトも決まりました。これから作品構成とセレクトなど準備を進めます。

・展示内容は、プリント70~80点程度で、くわえて映像も使いたいと考えています。開催までの心地よい緊張感も楽しみです。

横浜市民ギャラリー →  <https://ycag.yafjp.org/exhibtion/86942/>https://ycag.yafjp.org/exhibition/86942/

 

■個展を計画中     11月25日

「芸術の秋といわれていますが」秋があっという間に終わりそうです。馬肥える秋。スポーツの秋。芸術の秋などと言われています。そんな季節に後押しをされて第四回目の個展の計画を進めています。ギャラリーの確保。展示コンセプトの整理。そしてステートメントをまとめる、などの準備作業をはじめました。プランがまとまったらこのページでもお知らせしようと思います。

 

■町の祭り     9月14日

八月と九月は祭りのシーズンです。わたしは繁華街に近い下町に生まれて育ったので、子供の頃から町内の祭りを毎年楽しんでいましたし、近隣の町の祭りにも出かけて遊んでいました。神輿、盆踊り、夜店など、祭囃子が聞こえると子供の頃を思い出します。祭り好きは年を重ねても変わらないんですね。

 

■旅と写真      8月8日

見知らぬ世界への旅は写真家にとって、あらたな創造力の機会を得るだけでなく、写真を通じて世界をより深く理解しまた己を知る手段となり得ます。これまで多くの写真家が旅をテーマにして取り組んできました。

わたしと旅の関わりは、写真活動をはじめるよりずーと以前に遡ります。それはじつに日常的な動機で、家内を忙しい家事から開放して短い期間ではあるけど気分転換をして貰うのがはじまりでした。旅に出ればもの珍しさから、いわゆる観光写真や記念写真をたくさん撮っていました。

勤め人でしたのでリタイヤ後をどう過ごすかが現実となり、自然な流れではじめたのが「写真」で、今年でちょうど10年になりました。コロナ禍で3年半、渡航していないので、家内の慰安旅行をそろそろ計画したいと思っています。

写真はバックパッカーの真似ごとをして訪れたイエメン共和国で、アラブの国々を旅していた頃です。伊藤のホームページも適宜更新しています。上のボタンから覗いていただければ幸いです。

■光画塾での写真の楽しみ方   8月1日

~技術的に低く日常的なものを撮っていて、構成やアングル、色彩にも既視感が拭えないような写真、とりあえずスナップ写真と呼んでおくが、その写真が写真集になり、展示会で展示されたとき~、見る人の誰もが抱く疑問は、「私が撮った写真とどう違うのか」ここに写真批評の困難は尽きている。~有名な誰それの写真と私の撮る写真と、どこがどう違うのか分からない~』

・これは美術手帖2002年04月号に掲載されている美術評論家しみずみのる氏の論文の抜粋です。さらに氏は「~写真表現の内実は見る者と作品のあいだに生じる交流から事後的に生じるしかなくなる~」といい、以下1990年代以降の現代写真とティルマンスについて論じています。

・昨年の神奈川県サロン展で、竹沢うるま氏は「竹沢うるまが、今この時に審査して選んだ結果です。選者が変われば、時が変われば審査結果は変わる」「写真は作者と見る人の感性の交流だ」と話していました。

・日頃、私が写真活動をしていて感じることは、写真作品の価値を判断する要素はとても多くて、その要素の中の何を重視した見方をするかで作品価値は大きく変わります。見方は人が変われば変わるのでまさに混沌です。

・光画塾では、作者が何を見て、何と向き合い、何を感じたのか。それをどう表現して伝えるかをスタートラインにしています。人によって受け止め方が異なるので、全員の目で見て、全員のディスカッションで作品と感性の交流をして次の作品作りに活かすワークショップを続けています。おかげさまで、写真表現をおおいに楽しんで1年半が経ち、今年は写真展を開催しました。

■写真集と個展    6月22日 

第3作品目の写真集を発注しました。これまでの2作品はA4サイズで80ページにしました。しかし今回は210mm×210mmサイズの正方形で、一冊試作してできあがりを確認してから何冊作るか決めようと思っています。

写真をはじめて以降、いつもカメラを持って撮り歩いていますが、その目的・目標の一つは「個展」の開催と「写真集」の刊行です。何を見て、何を感じ、何と向き合いシャッターを押したのか、作品は自分自身の記録でもあるので、個展と写真集は一対として考えています。

そろそろ4回目の個展を計画しようと思います。

 

 ■第一回写真展 私のお題          5月17日 

写真展Monologが来週の23日からスタートします。8人それぞれが向き合い見つめた光景を個展形式で95作品展示します。わたしのお題は「大岡川の鉛筆」です。

世界で最初の写真集はフォックス・タルボット氏の「自然の鉛筆」です。戦後の日本を代表する写真家・東松照明氏には「太陽の鉛筆」があります。とても恐れ多いのですが「鉛筆」を拝借して12作品を展示します。

お時間がありましたら散歩がてらお立ち寄りいただきたくお知らせします。
詳細は下のヨコハマ・アートナビでもご覧になれます。
https://artnavi.yokohama/event/35077/

 

■名刺とホームページ    3月31日

横浜の繁華街近くで生まれ育ったわたしは、子供の頃から親しんだ伊勢佐木、野毛やその周辺の街をいつも撮り歩いています。いわゆるストリートスナップです。

街は人の営みなので、街を撮ることは、人を撮ることになります。声をかけて向き合って撮ることもあるし、街を社会的風景として撮ることもあります。声をかけて無視されることもあれば、怒られることもあるし様々です。人を撮るのはやはり難しいですね。

「撮って何んに使うんだよ」「変な使い方するなよ」「見せて見せて」そんな時、「怪しくないですよ、悪用しません」と名刺を渡します。名刺にはQRコードもあってわたしのホームページに飛んでいけます。そうして写真を介して新たな繋がりができていくことも少なくありません。名刺とホームページをコミュニケーションツールとして使っています。また、ホームページはポートフォリオとしても有用だと思っています。適宜、更新しますのでご訪問ください。